WHOCH Project “Live Surgery Education for Hydrocephalus in Kenya and Tanzania”ケニアとタンザニアにおける水頭症のこども達の手術指導
- 2001年から、独自に、世界の水頭症のこども達の救済活動として、WHOCH [Worldwide Help of Children with Hydrocephalus] projectを立ち上げ、これまでに、22ヶ国、63回に及んで、諸国で治療の難しい難治性水頭症をはじめとする水頭症の手術指導に取り組んできた(大井静雄著:すこやかなれ、世界のこども達!WBI publications 2011発行に2010年までの活動報告)。口径2x4㎜の世界最小径の神経内視鏡(ドイツ・カールストルツ社製Karl Storz “Oi Handy Pro”)の開発で、その普及が、アフリカにも及んだ。
- 本年、2016年には、そのWHOCH projectの21カ国目として、キリギスタン共和国、22カ国目として、タンザニアに招かれた。特に、タンザニアでは、ケニア(第10カ国目)で、2007年以降、過去3回WHOCH活動を行ってきた成果で、ケニアの脳外科医とチームを組み、ブガンド タンザニア メディカルセンターにて、重度水頭症の神経内視鏡治療を行った。
- 日本政府のTICAD (Tokyo International Conference on African Development アフリカ開発会議)等での支援を望む現地の医師達も多く、ここにお伝えしたい。
The big discussion “Bilingual education for children in Japan”Part 3. From the results of “English Proficiency Examination 3rd grade”for junior highschool pupils 日本におけるこどもバイリンガル教育のあり方(その3)日本の中学3年生の英検3級合格率:わずか2~4割という現状
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2016年2月2日の朝日新聞朝刊において、日本の中学3年生の英検3級合格率:わずか、2~4割という現状が、報道された。
- 来年の2017年度までに、中学卒業時、英検3級以上の英語力を2人に1人の50%に!が文科省の目標であるという。今のこの日本の英語教育システムでは、難しいのではないか。
- “発達脳科学”的側面から解説すると、ここには、重大な問題点がある。それは、英語の聞き取りには、その発達年齢的な臨界期(”Critical Period of Language “)があるということである。
- これは、音楽の“音感の発達時期”として、幼児期が重要視されていることにも共通する。
- 言語も音楽も、聞き取り(聴覚・言語理解中枢)⇒ 記憶(海馬)⇒ 思考(前頭前野)⇒ 表現(運動・発語中枢)の主たる脳回路が、この時期に発達する。今回の結果は、この“生理的”言語発達(すなわち、幼少期の聞き取りから始まる)の原則にそぐわぬ教育が、まだ日本で行われていることの証である。[参考文献:大井静雄・著:こどもバイリンガル 育脳のすすめ 発行:WBI Publications 2014]
- この発達時期を逃すと、音楽脳と同様に、バイリンガル脳の脳回路の発達は、次第に困難となる。それも、話すとか、書くことは、何とか自分なりの表現でできたとしても、聞き取りから始まるバイリンガル脳の脳回路の発達は、幼少期の方がはるかに速く、かつ正確である。[参考文献:Oi S: The Development Quotient in English [EDQ] as an Indicative Scale of English Language Neuronal Development in Nonnative Children’s Brain.Journal of Hydrocephalus 4:10-24, 2012]
- 私の初孫は、今8歳(小学校2年生)だが、 乳児期から楽しいキャラクターと英語で遊ぶDVDが大好きになり、 完璧なバイリンガル脳が芽生え、8歳で英検3級を軽々と取得した。
- 発達脳科学的な意見をもうひとつ付け加えると、お母さんのおなかにいる赤ちゃんの聴覚は、6ヶ月(24週くらい)から発達しはじめる。この時点で、英語のおうたや言葉を聞かせてあげるのも、バイリンガル脳の発達に有効である、と言われる。
- バイリンガル脳の早期英語教育で、日本語の発達を心配する声もあるが、前にも述べたように、バイリンガル脳のこども達における日本語発達は、遅れるどころか、むしろ通常を上回ることが圧倒的に多い、という私たちの研究論文報告を参照していただきたい。[Oi, S: Bilingual Neuronal Development with English Communication enhances Verbal Development Quotient in Japanese [vJDQ] in Japanese Children. : “Oi Kids’ Brain EDQ” Cohort Study II. J. Hydrocephalus. 6(1):40-44, 2014]
The big discussion “Bilingual education for children in Japan”Part 2. The “great principle” in the bilingual education for children.日本におけるこどもバイリンガル教育のあり方(その2)幼児期・バイリンガル育脳教育の大原則
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前回は、英語を幼少時から始めても、日本語の混乱はない. それどころか、日本語での言語性IQが、ほぼ全例で標準を上回り、極めて高値を示すものすらある!と私自身の論文で結論されるデータをお示ししました。 Oi,S.;J. Hydrocephalus : 6(1):40-44,2014
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発達脳科学の研究領域では、「個人の特技や個性は、幼少期の趣好(Partiality)にその将来の発達の強さと方向性が見られ、さらにその中から、特に突出したものが個人の適性になっていく、という趣旨の学説〈”発達脳経年成熟因子“)」を最近、原著論文として発表しました[大井静雄:“発達脳経年成熟因子”の概念の提唱と「幼児の“個性”と“適性”評価スケール」(Oi, S.: Scale for Kid’s Personality & Aptitude [Oi-SKiPA])の開発. サピエンチア 第48号:49-62, 2014年]
- これが、小学館発行の「アンパンマン育脳ドリル第2弾」)に全面的に採用されました。このドリルで、果たして、1~3歳までにその素因が芽生えるかが、調べられます。第1弾は、お蔭様で10万人の幼児の皆さんにご利用いただきました。特に現代では、代表的なキャラクターと楽しく遊びながら、コミュニケーションは、急速に発達することを、多くのこども達で観察しています。
- “バイリンガル育脳子育て”には、やはり、英語圏の不動の人気キャラクターとコミュニケーションをとりながら、英語でお話し、歌ったり、踊ったり、のDVDが最高でしょう。一昨年には、「こどもバイリンガル育脳のすすめ」の一般書を発行しましたが、大変好評でした。これらには、いずれにも、コミュニケーションの発達に、その基本が見いだせます。それは、特に発達脳においては、“うんと楽しい環境の中で、コミュニケーション能力は急速に発達していく”ということです。幼児期にこの遊びだけで、親の手もかからずに、EDQ(アメリカ人のこどもの何歳相当の英語が話せるかの、簡単なこどもバイリンガル認定制度)で4歳で5歳をクリアーしたと思ったら、小学校二年生になってすぐに英検3級を楽々取得してしまいました。ただ、そのキャラクターがつまらなかったら、こどもは正直、すぐに飽きてしまい、バイリンガルどころか、コミュニケーションの脳回路の発達に絶対的に必要な“プラスの感性”は、あまり期待できないかもしれませんね、、、。
The big discussion “Bilingual education for children in Japan” Part 1. Do you have any scientific evidence on your opinion? 日本におけるこどもバイリンガル教育のあり方 (その1)科学的エビデンスをもって意見を述べよう!
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2015年5月31日の朝日新聞朝刊に、“英語教育早いほどいいの?”と題して、日本における幼少期の英語教育が、アジア諸国で最も遅れていることと、その結果として日本人のTOEFL平均点:70点(120点満点)が最低であるデータが、示された。
- そこにおいて、日本での英語教育の早期化に、賛成・反対の意見を、それぞれお一人づつの大学教授が論旨を述べておられる。
- 結論から言って、賛成者の吉田研作教授(上智大学言語教育研究センター長)のご見解に、100%賛同する。吉田教授は、冒頭に「言語を遊びなどの体験から覚える能力は幼い子が一番高く、、、逆に知識から教え始めると英語嫌いを増やすおそれがある」と述べられ、日本語がおろそかになったりはしない、とのお考えである。
- 一方で、反対されるX教授は、「記憶力が抜群で分析的に考える力がつくのは中学生の時期で、小学校での英語教育は、英語嫌いが増える、、、」と何ら、研究論文を引用することもなく、ここまで言い切るのは、Oxford Evidence Level sで最低のレベル5の発言である。大学人なら、自らの研究データもしくは少なくとも発表された論文引用をもっての発言が望まれる。
- ここに重要なエビデンスを示す。2013年8月28日朝日新聞朝刊には、小学校の時代に英語を始めたこども達の76.2%が英語好きで、中学生になってからは53.3%を大きく上回るデータが示された。
- 私自身の論文で恐縮だが、英語を幼少時から始めても、日本語の混乱はない。それどころか、日本語の言語性IQが、ほぼ全例で標準を上回り、極めて高値を示すものすらある!と結論されるデータを発表している。≪Oi,S.;J. Hydrocephalus : 6(1):40-44,2014≫
WHOCH Project “Live Surgery Education for Intractable Hydrocephalus in Nepal” ネパールにおける難治性水頭症の手術指導
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2001年から、独自に、世界の水頭症のこども達の救済活動として、WHOCH [Worldwide Help of Children with Hydrocephalus] projectを立ち上げ、これまでに、18ヶ国、56回に及んで、諸国で、治療の難しい難治性水頭症をはじめとする水頭症の手術指導に取り組んできた(大井静雄著:すこやかなれ、世界のこども達!WBI publications 2011発行)。世界最小径の神経内視鏡(ドイツ・カールストルツ社製Karl Storz “Oi Handy Pro”)の開発と世界での普及が、そのきっかけとなった。
- この春、2015年3月25日には、そのWHOCH projectの18カ国目として、ネパール・カトマンズのNAMS[National Academy of Medical Sciences, Nepal] ネパール国立医科学アカデミー大学院大学附属病院に招かれ、3日にわたり、講演と手術指導を行った。
- ネパールにおける難治性水頭症の特徴は、幼少期の水頭症が、大人になって発見されるLOVA(Long-standing Hydrocephalus in Adults by Oi, S: Journal of Neurosurgery 92: 933-940, 2000)が目立って多いことだ。
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その手術の丁度1か月後の4月25日に、ネパール・カトマンズでは、大地震によって8千人の方々が亡くなり、2万人以上の人々が負傷した。そのNAMS附属病院では、こども達を救う医療におけるモニターや機器が壊れ、また、医師や医療チームのスタッフ達もテントに寝泊まりしていると伝えてきた。日本からの、救済の手や援助を強く望んでいる。ご支援していただける方々を募りたい。